歯医者に診てもらいたいけど、通院が困難な方へ
ケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を持つ歯医者が
そちらにお伺いして、歯科治療を行います
歯や口の病気の予防で全身の病気や要介護度の進行を予防し
生活の質(生きがい)を上げて健康寿命を延ばします。
歯医者や歯科衛生士による定期的な口腔ケアをしている人は
歯を多く残せる傾向があります。
歯の数が多い人ほど、医療費は年間で19万円も少なくなります。
要介護度や医療費を上げないためには
早期で定期的な訪問歯科診療が必要です。
お気軽にご連絡ご相談ください。
訪問歯科診療についてQ&A
治療が必要か診てもらうだけ、または相談だけでも訪問に来てもらえますか?
在宅での歯科の健診やお口の相談だけでも行っていますのでご連絡下さい。
対象者の条件はありますか?
訪問歯科診療の対象となるのは、「通院困難な方」と決められています。主に寝たきりの方が対象になり、他の診療科に通院されている場合、原則的に歯科訪問診療は認められていません。
要介護の高齢者では、歯を診てもらいたくても体が不自由で通院できない人がたくさんいます。しかし、体に障害があったり、病気を持っている人ほど口腔ケアを行いにくく、治療が必要な状態になりやすいのです。
訪問歯科診療を受けて長年のお口の悩みを解消できた人も少なくありません。
来てもらえるのは自宅だけですか?
入院中の病院(歯科、口腔外科の診療科がある病院を除く)、特養、老健、有料老人ホーム、グループホームや障害者施設などへの訪問も可能です。しかし各施設では病診連携が整っている場合がほとんどです。まず施設の担当者に相談してみてください。訪問歯科診療を行う場合は施設長や主治医と連携し安全な治療ができるように配慮します。
入れ歯の調整、歯磨きや口腔ケアの衛生指導だけでも来てもらえますか?
通院困難な方に多い訴えは、「食べられなくて困っている」というものです。食べられなくなった原因は、入れ歯が壊れたり、歯が抜けたり、あるいは入れ歯が痛いなどさまざまです。訪問歯科診療では、通院困難な方の訴えをくみとって、むし歯や歯周病などの治療や入れ歯の作製・修理、口腔ケアなどに対応しています。また、口腔機能のリハビリテーションも行います。口腔機能のリハビリテーションで口腔機能の維持・向上することは誤嚥性肺炎の予防や食べる楽しみの回復を期待できます。もちろん経口維持やQOLの向上においても大切です。治療の方法は利用者の体力に合わせて無理のないように進めていきます。
歯科訪問診療の当日に何か準備しておくものはありますか?
必要なものはすべて用意していきますので特にはありませんが、初診日などは保険証(医療保険・介護保険)のご用意をお願いいたします。但し、うがい用のお水や入れ歯などを洗浄する洗面所、また機械を使った治療をする際のご自宅のコンセントから電源を取らせて頂く事があります。また突然な状況で居宅にあるものをお借りする場合があります。
治療費について?
歯科治療などは医療保険で、介護に関わるものは介護保険の扱いとなります。介護保険には歯科医師や歯科衛生士による居宅療養管理指導があります。
認知症があり口をあけてくれないとか、拒否したりするかもしれませんが大丈夫でしょうか?
最初の訪問時は、患者さんの現状調査の意味合いが強く、治療をすぐに開始できない場合もあります。その時の体調に合わせたりして治療ができる体制作りから開始します。実際には口を開けられるが開けてくれない場合と病的に開けられない場合があります。顎関節症や筋の拘縮などがある場合は開口できないのでそれに対処する方法があります。以前に口腔ケアの際、痛い思いをされた場合は、柔らか目の歯ブラシで衛生士による丁寧なブラッシングで痛くない事を体験していただきます。脳卒中等の患者様の場合には口腔粘膜に過敏が起こる場合があり、ブラッシング時に痛みを与えやすいので脱感作を行います。認知症の場合は最初からは口腔内に器具などをいれる事はありません。簡単なホーム口腔ケアでも専門的なアプローチが必要ですので一度ご相談ください。
私の「医療」に対する考え
『生活のための医療であって、医療のための生活ではない』
今まで私は歯科医院内で虫歯や歯周病を治療し予防してきました。治療だけにとどまらず、患者さんに鬱陶しがられても進行予防と再発予防に力を入れてまいりました。患者さんの協力のおかげで、当院治療の再治療率はかなり低いと自負しております。
ところがある日、予防に来られているご高齢の患者さんより「口は今、調子いいのが、足腰が悪くなってここに来られなくなるのが心配じゃ」と言われました。その時、来院者の治療と予防に偏重していた自分の勝手な医療を気づかせていただいたのです。
それからは、自分がすべき本当の医療って何?と考え込むようになりました。その答えを「食卓の向こう側」と「生活の医療」という本に少し見つけました。
大久保満男(前日本歯科医師会会長)は会長就任時、「歯科保健・歯科医療とは口腔の機能を維持・増進させることによって、食や会話という人間の生きる力の根幹を支える生活の医療である」と定義しています。 現代の医療が生死を分かつ救急救命士を中心に、ある種ドラマティックに語られることが多く、それが生命至上主義のようにあることに違和感を覚える。なぜなら、言葉をもつ人間は、生命をもつだけではなく、その生命を使って、どのように自らの人生を生きるか、日々の生活を営むかを考え、悩み、そして楽しむ生き物だからだ。そのような人間にとって、「食べる」ということが、生きる力を支える最も大きな武器であることをわれわれは再認識しなければならないと。
また、哲学者の鷲田清一是前大阪大学総長は「生きるということは食べ続けることである」と書かれています。そしてさらに、食べなければ生きられない人間が、食べることを拒否する場面を介護の必要な人に、介護する人が別のことを考えながら、ただ機械的にスプーンを口に運んだなら、介護される人はその屈辱に口を閉ざすだろう、と述べています。しかし同時に、われわれは、寝たきりで体も動かない要介護者が、「食べ物がおいしいと感じる限り、自分は生きていける」と語ったことを知っている。 これは、食べるという行為が、人間が生きるうえでの、いわば尊厳にかかわる根源的な行為であることを示している。 このような要介護者の生きる力を支え「生活の質」を確保する歯科医療の役割が、超高齢社会の医療にとってきわめて大切であると。
しかし、ここに大きな課題があります。それは介護を必要とする人々は、自宅や福祉施設に住み、通院することが不可能な場合が多いということです。また要介護者は、いくつかの慢性疾患を患っていて、一人の専門医だけで支えることはできない。そのため医師たちは、まず要介護者の住んでいる場に出かけて治療することが必要となりこれを「在宅医療」と呼ぶ。さらに要介護者は複数の病気をもつから、様々な職種の医療関係者と福祉関係者が相互に連携する。つまり一人の要介護者を、家族を含め、地域で支えていくという構図があって初めて在宅医療は成立するのではないか。
歯科医療の役割は、まず多くの歯を保って最後まで自立した生活が送れること。しかし歯を保てなかった人々には、義歯等によって食べることを確保し、生きがいのある人生を送っていただくこと。さらに不幸にして、病で自立できなくなった人々には、在宅歯科医療も含めて、人生最後の瞬間まで食べられることを通して、その人の生活と人生を支えること。このとき歯科医療は手段であり、真の目的は人々がどのように生きがいのある生活を過ごすことができるか、そしてそれをいかに支えられるか、にあります。歯科医療はそのための手段であると考えます。
高齢者特有の肺炎というものがある。高齢者の肺炎は、唾液や逆流した胃の内容物を寝ている間に少しずつ気道に吸い込んでしまうこと(不顕性誤嚥)によって起こる可能性が高い。しかし、しっかり口の中を清掃していると風邪やインフルエンザにかかりにくいという報告があり、事実、口腔清掃の継続によって咽頭部の細菌数が減ることが明らかにされています。
米山武義歯科医師と佐々木英忠東北大学医学部教授の研究により、食後の歯磨きと毎週一回の歯科衛生士による機械的口腔ケアを続けることで、発熱や肺炎の発症を確実に減らすことができることが分かっています。その後、ブラッシングを主体とする二ヶ月の機械的口腔ケアによって、要介護高齢者の嚥下時間が短くなることが明らかされ、口腔ケアが高齢者の健康維持や介護にきわめて重要であることが広く理解されるようになってきました。
いまわが国では、高齢社会の到来によって、「治す医療」とともに、地域コミュニティに支えられた「暮らしの中での医療」の重要性が増しています。
歯科医師として歯科医療の目的を<歯の治療>から<食べる幸せ>へと拡げ、「生きがいを支える歯科医療」としていくべきでしょう。
食べることは生きることであり、食べる喜びは生きがいと生きる力を支えます。口から食べることができるようになって、命に再び明るい灯がともるようになることが「健康寿命の延命」になります。
今後、歯科医療は「診療所で完結する」医療にとどまらず、「暮らしの中で、食生活を維持し、患者の生きがいを支える」医療へ変えるべきでしょう。
「私に関わった人、全てを健康のまま逝かせる」これは、私の生涯の目標です。
私に関わる全ての方が、歯科医療を通して少しでも健康に幸せな生活が送れるよう期間が長くなるように、お手伝いを致します。
ご連絡、ご相談をお待ちしております。