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「よく」かんで食べましょうの勘違い

2024年3月28日 大名歯科院長
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「健康のために、よくかんで食べましょう」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんね。しかし、この「よく」を「力強くしっかり」と誤解してしまうと、日常的に歯や顎に過剰な負荷がかかり、顎関節を痛めたり、歯やセラミックのかぶせ物が欠けたりする原因になります。

正しくは、「口の中の空間をしっかり広げて食べましょう」です。咀嚼は意識的に始めますが、その継続は脳に記憶された反射と、舌や歯、頬、唇からフィードバックされる情報を基に行われます。体の動きの中でも非常に高度な運動で、脳幹にある神経回路網が顎や舌、頬、唇の筋肉をそれぞれ異なるリズムでコントロールしていると考えられています。

そのため、一度幅を始めたら、よくかもうとする必要はありません。力を入れずに口を開けるリズムだけを意識すれば、食べ物の状態が脳に伝わり、舌や頬の内側をかんでしまうことなく、自然に正しい咀嚼ができるはずなのです。

食べ物を口に入れたら、唇を閉じたまま顎を動かし口の中を広げてみましょう。すると反射的に元の状態に戻ろうとし、咀嚼運動が自動的に継続します。口の中が広く使われると、食べ物が唾液と十分に混ざり、のみ下せる状態へと効率よく変化していきます。

そもそも食べ物の消化吸収は、リラックスしているときに優位に働く副交感神経にコントロールされています。集中し過ぎて力を入れると、交感神経が優位になり、その後の消化吸収もスムーズに行われなくなってしまいます。歯で食べ物を攻撃するかのような交感神経緊張型の食べ方を見直し、口の中の空間を広げることを意識してみてください。

リラックスしてゆっくりと味わいながら食事をすることが、健康の秘訣です。


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